商用利用・訴訟リスク・責任の所在をやさしく解説
- AIで作った画像をSNSや商用で使っている
- 商用利用で気をつけるべきポイント
- 作風模倣や著作権について不安がある
- 安心して生成AIを活用したい!
はじめに|生成AIは便利だけど、著作権って大丈夫?
生成AIを活用した画像や文章は日々進化し、商用利用の場面でも見かけることが多くなってきました。
とても便利な一方で、
「著作権はどうなるの?」
「勝手に使って大丈夫?」
と不安に感じたことはありませんか?
実際にあった私の体験
私はデザイナーとして仕事を請け負うなかで、生成AIを活用することもあります。
ところが、納品後にクライアントがその画像を別の媒体で無断使用していたというケースがありました。
その際、「これってセーフなの?アウトなの?」と戸惑った経験があります。
※私は著作権を譲渡していないので、本来その画像の著作権は私にあるはずです。
ただし、生成AIを使った作品の場合は判断が分かれることもあり、実際には曖昧な点も多く存在します。
AIを使っていて、ふとこんなことを思うことがあります。
- 「AIで作ったイラストをアイキャッチに使ってるけど、これって本当に大丈夫?」
- 「知らずに誰かの作風を真似してたら…訴えられたりしないのかな?」
こういった不安や疑問は、日々AIを使っている中で実際に私が感じたものです。
また、SNSでは「ジブリ風」のような「○○風」といった有名な作風を意識した生成方法を紹介している投稿もよく見かけます。
それを見て、「これって著作権的にどうなんだろう?」と疑問に思うこともあります。
──とはいえ、それを見た他の人がどう感じているかまでは、正直わかりません。
ですがAIの便利さの裏で、何となく不安を抱えたまま使っている人は、意外と多いのでは?とも感じています。
私自身も日々生成AIを活用しながら学んでいる立場ですが、調べたこと・確認したことを初心者の方にも伝わるようにまとめました。
商用でAI画像を使う立場として、「どこまでがセーフで、どこからがアウトか?」という線引きが気になり、今回あらためて情報を整理してみました。
※法律の専門知識があるわけではありませんが、調べたことを初心者の方にもわかりやすくまとめています。
そもそも「著作権」とは?
著作権とは、「創作的な表現をした人に自然に発生する権利」です。
登録などをしなくても、創作した時点で自動的に発生します。
用語 | 意味 |
---|---|
著作物 | 創作性のある作品(絵・文章・写真など)。誰かの“個性”が入っていることが重要。 |
著作者 | その作品を作った人。AIが作った場合、著作者が曖昧になりやすい。 |
著作権 | 著作物を無断で使用されないための権利。登録不要。創作と同時に自動発生する。 |
生成AIと著作権:そもそも何が問題?
AIが描いたイラストや、書いた文章。
これは誰のもの? そして、それを使ったら誰が責任を負うの?
こうした疑問が生まれる背景には、大きく以下のポイントがあります。
- 学習段階:AIが既存の作品を参考にしている
- 生成段階:AIが出力したものが誰かの作品に似ているかも
AIが直接「著作権侵害だ!」と訴えられることはありません。
そのAIを使った 「人間」が責任を問われる 可能性があるのです。
生成AIが作ったものに著作権はある?
日本の法律では、AIが自動で生成した画像や文章は基本的に「著作物」ではない=著作権が発生しないとされています(2025年5月現在)。
ただし、人が創作的な指示(プロンプト)を与えたり、加工・編集によって個性を加えた場合、その人の著作物として扱われる可能性があります。
ケース | 著作権扱い |
---|---|
AIが自動で生成した画像や文章 | 著作物ではない(著作権は発生しない) |
人が工夫してプロンプトを入力・編集 | 内容によっては著作権が認められる可能性もある(創作性次第) |
複数画像を合成・装飾したAI画像 | 編集者の著作物とされる可能性あり(構図・表現が鍵) |
生成AIの結果そのままを納品・公開する場合、「著作権を主張できない前提」で扱うのが無難です。
AIで著作権侵害になるケースとは?
以下のような場合、著作権侵害に該当する可能性があります:
- 有名キャラや漫画風の画像をAIで生成して公開
- 誰かの絵柄や作風をそっくり真似た画像を商用で使用
- AIに文章を生成させた結果、他人のブログと酷似
これらは 「依拠性」(元の作品を参考にしている)と
「類似性」(見た目や文体が似ている)の両方があると判断されると、著作権侵害と認定されるリスクがあります。
商用利用で気をつけたいポイント
ケース | 判断基準 | 注意点 |
---|---|---|
自分で生成したAI画像を使う | 基本OK | 他人の作風に似すぎていないか要チェック |
有名人そっくりの顔を生成 | グレー | パブリシティ権(肖像権)を侵害する恐れあり |
「ジブリ風」「◯◯風」などの作風模倣 | 要注意 | 特徴的すぎると訴訟対象になるリスクあり。明確な特徴や構図の模倣は特に危険 |
フリー素材サイトのAI画像を使う | 条件次第 | 商用利用やクレジット表記など利用規約を必ず確認 |
実際にあった著作権トラブル・事例紹介
法律の国別スタンスまとめ(ざっくり)
国・地域 | 学習データ利用 | AI生成物の著作権 | プラットフォーム責任 |
---|---|---|---|
日本 | 比較的寛容(著作権法30条の4) | 原則なし(人間関与が前提) | 削除対応しないと責任問われることも |
米国 | フェアユース理論 | AI単独の創作物はNG | Section 230による免責あり(例外あり) |
EU | オプトアウト可能 | 原則NG(人間の創作のみ保護) | DSAにより責任強化 |
中国 | 厳格に管理 | 人間の関与があればOKになる場合あり | 合成コンテンツに表示義務 |
なお、AIと著作権に関する議論は今後も進んでいくと予想され、各国で法整備の動きも活発化しています。今後の動向にも注目しておくと安心です。
名誉毀損・プライバシー侵害のリスク
生成AIは、架空の情報や実在人物をベースにした“誤情報”を生成することもあります。
- ChatGPTが「○○市長は贈収賄で服役」と誤情報を出力→名誉毀損問題に発展
- 顔写真を学習させてポルノ合成→ディープフェイク問題(肖像権・プライバシー)問題
このようなケースでは 利用者自身が責任を問われる のが原則です。
実際にあった事例から学ぶ
- 中国:ウルトラマン風のAI画像→著作権侵害と認定
- 米国:Stable Diffusion開発元が「誘発的著作権侵害」で集団訴訟対象に
- 日本:文化庁が「AIでも依拠していれば違法」と明言(2024年)
事例名 | 内容 |
---|---|
イラストACでのAI画像削除 | 作風が既存作品と酷似しているとして、著作権違反の疑いによりAI生成画像が削除される事例が発生。 |
米国の訴訟例 | Midjourneyで生成された画像が、既存の画風と酷似していたとして集団訴訟に。 著名作家の画風に酷似したAI画像で訴訟→「AIが真似した元画像が明確だった」 |
私自身の経験 | 生成AIで作成・納品した画像が、別媒体に無断使用されていた。→ 著作権譲渡をしていない限り、再利用はNGのはず。 |
制作者・クリエイターが意識すべきポイント
- AIで制作したことは可能であればクライアントに伝える(明記推奨)
- フリー素材の利用ルールを厳守(「商用OK」「再加工OK」などを確認)
- 他人の特徴的な作風は避け、オリジナル構成・加筆で創作性を加える
- 人物を使う場合はモデル利用規約(肖像権)にも注意
- プロンプトや構成、仕上げに手を加えることで“著作性”が生まれることも
よくあるグレーゾーンと注意点
- スタイルの模倣はOK?
-
文体や絵柄など「作風」は、著作権ではなくても不正競争防止法やパブリシティ権でNGになることがあります。
- プロンプトに頼っても著作権は得られる?
-
人間の創作性(選定・調整・加工など)があれば可能性あり。完全自動生成だけではNG。
まとめ|AI時代の創作は“知らないと損する”
生成AIは非常に便利なツールですが、「著作権や肖像権のライン」を知らずに使ってしまうと、思わぬトラブルに発展することもあります。
法律が完全に追いついていないグレーな部分も多いからこそ、「知らなかった」では済まされない場面も。
制作・発信を行う立場として、クリエイターとして、最低限のリテラシーを身につけながら、安心してAIを活用していきたいですね。
- 著作権の基本と、AI生成物が対象になるかの考え方
- 商用利用での注意点とトラブル回避のポイント
- 実際の事例や、自身の経験に基づくリアルな視点
- AIを使っても、責任は使った“人”にある
- 著作権侵害・名誉毀損のリスクはゼロじゃない
- 「商用利用OK」の判断には、正確な理解が必要
商用・趣味にかかわらず、「どこからがNGか?」を把握したうえで、安心してAIを使っていきましょう!
※本記事は法律の専門的なアドバイスを提供するものではありません。最新の法改正や事例については、専門家や各種ガイドラインをご確認ください。